キレイ人がいた その4
きれいな脚ですっくと立ち、早くもドアの方へ向かう彼女が、私たちの方をもう一度振り返り、ウィンクをしながら言いました。
「心配しないで。彼と二人で食事をする時はいつもちゃんとご馳走してもらってるから」
小さな飛行機の開けっ放しになったドアから恐いもの見たさの心境で外界に目を向けたとたん、私はひどいめまいがして命綱をより一層強く握り締めた。
何しろここは地上二千メートルの上空です。
富士山の半分より高い、と、そう考えただけで気が遠くなりそうだ。
そんな高いところから「じゃ、またね」とだけ言い残し、次の瞬間には彼女は外へと飛び出していった。
「あっ」と声を上げる間もなくその姿は驚異のスピードで下界へと消えていった。
私はめまいどころか軽い吐き気すら覚え「気が知れない」とだけ思いました。
今頃は既にだいぶ下がって地上千メートルあたりを浮遊しているであろう彼女のことを想像してみる気力もなかったのです。